*糖尿病網膜症*

糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症としておきてくる目の病気です。内科からの紹介や、人間ドックで指摘されて眼科を受診して見つかります。逆に視力低下などで眼科を受診して網膜症がみつかり、内科へ紹介し糖尿病であることがわかる場合もあります。糖尿病の患者さんの多さと、治療や経過観察を中断してしまう方もいるため、緑内障とともに成人してからの失明の大きな原因疾患となっています。糖尿病網膜症は、糖尿病患者さんの約40%で見られます。


糖尿病

糖尿病の患者さんは日本だけでなく世界的に増えていて、日本では予備軍も含めると2000万人と言われています。国は糖尿病を重要疾患のひとつと位置付けています。健康診断や他の病気で医療機関を受診した際に糖尿病が見つかったり、のどの渇きや多尿などの自覚症状から内科を受診、糖尿病と診断される場合もあります。血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態、つまり高血糖状態が続く病気です。健康であれば、食事の後、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されて、食べたものに含まれる糖分をエネルギーに変えます。糖尿病ではこのインスリンの量や働きが低下しています。糖尿病には、のどが渇く、多尿などの症状がありますが、これはかなり血糖値が高くならないと現れません。血糖値が多少高い程度では自覚症状はほとんどないため、糖尿病だと気がついていなかったり、きちんと治療を受けていない人が少なくありません。糖尿病にはさまざまな合併症を起こすことが知られていて、なかでも3大合併症は、し(神経の障害)、め(目の障害)、じ(腎臓の障害)であり、頭文字をとって"しめじ"と覚えて気をつけるようにしましょう。目については糖尿病網膜症以外にも、白内障などがあります。


単純糖尿病網膜症から増殖糖尿病網膜症へ

糖尿病になると、網膜の毛細血管が弱くなり、網膜内に出血がおこったり、血液中の水分や脂肪が漏れ出て網膜がふやけたような浮腫の状態になります。初期は進行はゆっくりで、数年から10年以上もかかって徐々に悪くなっていきます。網膜内の出血や浮腫は中心部におこらなければ、自覚症状がないまま進行していきます。この経過が遅い単純糖尿病網膜症に新生血管があらわれると、前増殖糖尿病網膜症、増殖糖尿病網膜症と徐々に進行し、積極的な治療を行わないと視力を失う可能性もあります。視界がかすんだり、視力が低下、飛蚊症などがおこります。単純糖尿病網膜症での出血は網膜内への出血ですが、増殖糖尿病網膜症ではしばしば眼内に出血(硝子体出血)します。網膜剥離や緑内障などを併発する場合もあります。


糖尿病網膜症の治療

糖尿病網膜症がまだ発症していなかったり初期(単純糖尿病網膜症)であれば、血糖値をコントロールすることで、網膜症の進行をゆるやかにすることができます。医師(内科)の指導のもと、食事に気を付けたり、適度な運動を続け、必要であれば血糖降下剤を服用します。自覚症状がなくても、この時期から定期的に眼科で診察を受け、経過を見ることが大切です。進行した場合は、レーザー光凝固治療、硝子体注射、硝子体手術などの治療を行います。

*レーザー光凝固治療・・・網膜の血流が途絶えた部分にレーザーを照射、新生血管が発生して出血することを予防します。

*硝子体注射・・・網膜の黄斑部に浮腫がおこって腫れると視力が低下します。抗VEGF薬という血管からの水漏れを抑えるお薬を眼内に注射して浮腫を治療します。

*硝子体手術・・・新生血管がやぶれて眼内に大量に出血すると、硝子体手術で出血を取り除き、網膜がはがれていると、元に戻すなどの処置を行います。